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親が施設へ。さいたま市の実家を「負動産」にしないための家族の心得10か条2026.03.17
第1条:【意思の承継】「家の出口」を親が元気なうちに明文化する
最も重要で、かつ最も難しいのが「親の本当の気持ち」を確認することです。施設に入った後、環境の変化で認知機能が急低下するケースは少なくありません。
- 具体的アクション: 穏やかな食事の席などで、「もしこの家を空けることになったら、誰かに貸してほしいか、それとも売却して生活費に充ててほしいか」を単刀直入に、しかし優しく問いかけてください。
- ポイント: 「いつか帰る場所」として残しておくのか、「家族の負担にならないよう処分していい」のか。この一言が、後の兄弟間の遺産争いを防ぐ唯一の「免罪符」になります。可能であればエンディングノートや動画で記録を残しましょう。
第2条:【権利の確認】登記簿謄本で「名義人」の真実を知る
さいたま市内の古い住宅地(大宮区、浦和区、岩槻区など)では、名義が亡くなった祖父や曽祖父のままになっているケースが非常に多いのが現実です。
- 具体的アクション: さいたま地方法務局(本局や各出張所)で「登記事項証明書」を取得してください。
- 注意点: 2024年4月から相続登記が義務化されました。名義が親本人でない場合、いざ家を売ろうとしても数ヶ月単位の余計な時間と多額の手数料がかかります。入所前の今、司法書士に相談して名義を整理しておくことが、将来の自分たちを救います。
第3条:【資産凍結の回避】「家族信託」という選択肢を検討する
親が認知症と診断され、判断能力を失うと、銀行口座だけでなく「不動産」も凍結されます。たとえ実子が「親の介護費のために家を売りたい」と思っても、法的には不可能です。
- 具体的アクション: 親に判断能力があるうちに「家族信託」の契約を検討してください。これは、実家の管理・処分権限をあらかじめ子供に託しておく仕組みです。
- さいたま市での動き: 大宮駅周辺や浦和駅周辺には、家族信託に強い司法書士や公証役場が集まっています。「まだ大丈夫」という過信が、後に成年後見制度という複雑でコストのかかる仕組みを使わざるを得ない状況を招きます。
第4条:【防犯・防災】「空き家」のサインを消し去る
施設入所が決まると、実家は急に「気配」を失います。さいたま市の住宅街では、空き巣や不法投棄のプロが常に目を光らせています。
- 具体的アクション: * 郵便物の転送: 郵便局で「転送届」を出し、チラシが溢れるのを防ぎます。
- 外観の維持: 門扉に「セールスお断り」などのステッカーを貼り、不審者の侵入を心理的に防ぎます。
- スマート家電の活用: 定時になると電気がつくタイマー式ライトなどを導入し、「誰かがいる気配」を偽装するのも有効です。
第5条:【貴重品回収】「紙の書類」が未来の鍵を握る
家財道具の処分は後回しでも良いですが、書類だけは今すぐ回収してください。
- チェックリスト: *土地・建物の権利証(登記識別情報)
- 実印と印鑑登録カード
- 通帳、年金手帳、保険証券
- 各種契約書(公共料金、CATV、JCOMなど)
- ポイント: これらが不明なまま親の記憶が曖昧になると、解約手続き一つに数週間のやり取りが必要になります。実家の金庫やタンスの奥を、親と一緒に「整理」として確認しましょう。
第6条:【ライフラインの選別】水道は「命綱」として残す
基本料金を節約するためにすべて止めたくなりますが、水道だけは継続を強く推奨します。
- 理由: 空き家管理で最も怖いのが「配管の腐食」と「悪臭」です。月に一度、家族が訪れて全ての蛇口を開け、トイレの水を流す(通水)ことで、下水のトラップが乾くのを防ぎ、害虫の侵入や悪臭を封じ込めます。
- ガス・電気: ガスは火災リスク回避のため閉栓。電気は、掃除機や防犯カメラを使うなら維持しましょう。
第7条:【環境管理】「庭木」の越境は近隣トラブルの火種
さいたま市では、庭木の枝が道路や隣家に飛び出している空き家に対して、厳しい目が向けられます。
- 具体的アクション: 入所前に一度、プロの植木屋に依頼して「強剪定(大幅な枝打ち)」をしておきましょう。
- シルバー人材センターの活用: さいたま市シルバー人材センターでは、比較的安価で草刈りや庭木の管理を請け負ってくれます。親御様が施設に入った後の「定期的管理ルート」を今から確保しておくのです。
第8条:【近隣外交】「留守」を伝える信頼のネットワーク
「親が施設に入った」ことを隠したい心理が働くかもしれませんが、逆です。
- 具体的アクション: 隣三軒両隣には正直に伝え、「時々風通しに来ますが、何か異変があれば私の携帯(番号)へ連絡をください」と挨拶しておきます。
- メリット: 近所の方は、不審な車両や水漏れ、壁の破損などにいち早く気づいてくれる「最強の警備員」になります。菓子折り一つで、その後の管理のしやすさが劇的に変わります。
第9条:【固定費の断捨離】「自動引き落とし」の蛇口を閉める
親が住まなくなった実家のために、親の年金が消えていくのは防がねばなりません。
- 対象: 固定電話、NHK、新聞、インターネット、購読していない雑誌、クレジットカードの年会費、浄化槽点検、そして忘れがちなのが「町内会費」です。
- アクション: 直近1年分の通帳をコピーし、不明な引き落としをすべて洗い出します。解約には本人の同意が必要な場合が多いため、施設入所前がラストチャンスです。
第10条:【自治体連携】さいたま市のサポート窓口を把握する
一人で悩まず、行政の公的なサービスをフル活用しましょう。
- さいたま市の「空き家ワンストップ相談窓口」: さいたま市は、空き家に関する相続・売却・管理を一括で相談できる窓口を民間に委託しています。
- 税制優遇: 施設入所後、3年以内に売却すれば「空き家の3000万円特別控除」が受けられる可能性があります。これには細かな条件(耐震基準など)があるため、早めに市役所の住宅政策課や税理士に相談しておくことが、数百万円の節税に直結します。
結びに:実家整理は「親の人生」への敬意
このコラムでお伝えしたかったのは、単なる事務手続きではありません。実家を整えることは、親御様が築き上げた資産を守り、その後の施設生活を経済的・精神的に支えるための「愛の作業」です。
「まだ早い」と思った時が、実は最適のタイミングです。親御様と一緒に思い出の品を選びながら、一歩ずつ進めていってください。



